Timeless collections

アンティークジュエリーや古い小物のこと

帝政ロシア時代のリング&19世紀英国製センチメンタルジュエリー

前回、最後にお知らせしたようにローズカットダイヤのクラスターリングについて書く予定でしたが、その前に可愛らしいアンティークリングを2つ買ったのでその記事を書きたくなりました✨

①1898~1908年帝政ロシア時代のリング

②19世紀英国製センチメンタルジュエリー

 

まずは①のリングから・・・

 

 

幸運を表すのモチーフである三つ葉のリングです。

 

サファイヤ・エメラルド・ルビー・ダイヤモンドの14Kリングです。

 

 

リングの表にホールマークがあります(動画で見れます)

 

このホールマークがあるのですが、これは 1898~1908年に他国からロシアへ輸入されたことを示すインポートマークです。ロシア製ではりませんが、帝政ロシア時代に輸入されたあまり見かけないリングです。

 

お次は②の英国製リングです

 

 

ダイヤモンド・エメラルド・アメジスト・ガーネット・サファイヤの15Kパンジーリングです。久々のセンチメンタルジュエリーですね。

「誠実な想い」を意味するパンジーですが、両手でパンジーをもっているデザインです。 

 

側面から見ると手で花を支えている事が分かります。とても可愛らしいです。

 


リングの内側には1897年バーミンガムのホールマークがあります。

 

手でお花をもっているデザインは19世紀にとても流行しました。さりげなく身に着けて想いを表現していたのでしょう。

 

 


 

本当にアンティークリング?

自分用に何かアンティークリングが欲しいと思い探しています。

何にでも合うダイヤが好きなのでダイヤのリングを・・・と物色していたらお花の形の

とっても可愛らしいリングを見つけました

 

横から見ると立体的で生きたお花が咲いているかのようです。わぁ!!欲しい!!

と思いましたが、何か変だと思い3か月ぐらい躊躇しています。

ローズカットのダイヤもアンティークらしく素敵です。普段使いにいいなと最初は思いました。

19世紀前半ごろまでによくあったクローズドバックセッティングになっています。

 

ですが、西洋アンティークではこういうデザインのリングはほとんど見かけません。

その時代その時に特有のデザイン、カット(宝石)、よく使われた石、素材があり歴史的な背景により非常に影響されます。

 

もしかして、お花の部分はリングではなかったけれど後ほどリングに作り替えられた??とも考えました。でもこんなお花のデザインがリング以外でもあったかというと、う~ん・・・という感じです。 セッティングやダイヤのカットなどアンティークのような要素はあるのですが・・・。

 

それで説明をよく見ると「19世紀のトルコのアンティーク」とありました。

それもほんとかなぁ・・・?

ジュエリーが優れていたのは流行の中心地であったイギリスやフランスだと思うのでトルコにこういうジュエリーがあったのか??とは思いましたが・・・。精巧な銀細工などのイメージはあるのですがこういった感じのジュエリーはトルコではないイメージです。

とはいえあまりトルコのことは知らないので調べてみました。

 

まずこのリングは14Kです。トルコのホールマーキング制度を調べてみました。

トルコのホールマーキング制度は19世紀を通してゆっくりと衰退し1943年に終了したようです。

1970年代頃から現在に至るまでジュエリーと高級銀細工の生産における世界の主要な中心地ではありますがホールマーキング制度は再開していません。

 

今調べているお花の14Kのリングは売主が19世紀のアンティークと言っていますが1839年~1922年までのオスマン帝国時代後期には経済的また宗教的制限により銀製のアイテム数と比較して限られた量の金製品しか生産されていません。

その結果、ホールマークのある金製品はかなり希少性が高く現存するもっとも有名なアイテムとしてはオスマン帝国スルタンへの奉仕の証として個人に与えられた勲章などがあるようです。

上図はアラビア数字で3種類の金の種類を表した当時のホールマークの例です。

 

ここまでの話では、金製のジュエリーはこの時期極めて少ない(ほとんど無い?)事が推測されます。

ですが念のためお花のリングの売主にホールマークの有無を尋ねました。

「19世紀には制限により金製品は極めて少なかったと思いますが、仮にあったとしたら希少性が高く高価な物になると思います。そういうものにはホールマークがあると思いますがいかがでしょうか?」とお尋ねしました。

予想できた回答ですが、「14Kであることはテスト済みなので保証します。こういうものは何度もサイズ直しをしたりしてホールマークは消えていることが多いです。また罰せられる事を避けてホールマークを付けなかったかもしれません」という回答でした。14Kかどうかを確かめたいのではなくいつのものかを知りたいんですけどね。

 

市民革命・産業革命を経た欧米列強は19世紀にはオスマン帝国の侵略を本格化させます。お花のリングのような金や宝石が贅沢に使われていない比較的安価なジュエリーは

機械化や市民革命の進んだ欧米では裕福な庶民が購入することができました。

ですが、王制であり機械化の進んでいない19世紀のオスマン帝国では、王族や高貴な人々のための贅沢な金製品だけが存在していたのではないかと推測します。

ましてや、宗教や経済的理由から金は制限され銀細工の方が圧倒的に多かった訳ですからなおさらお花のリングのようなジュエリーは存在していなかったのではないかと思います。 中途半端な品を存在させる理由がありません。

 

ではこのリングはいつのものか・・・?ホールマーク制度の無くなった後の物かな~という気がします。デザインや雰囲気自体は可愛いのですけどね。

 

この売主は他にも面白いものを販売しています。

 

19世紀の西洋アンティークだそうです。確かにそのように見えます。ローズカットのダイヤ、ゴールドのリングにシルバーのセッティング、ダイヤの底には銀箔が敷いてあり19世紀前半までの技術であったクローズドバックセッティングです。

 

これは本当に19世紀の西洋アンティークなのでしょうか?次回それについてお話したいと思います。

 

 

 

 

1950~70年代のイヤリング3種類

アンティークやヴィンテージの指輪やリングが大好きでもうずっと集めています

 

ですが最近はコロナの影響でどちらも身に着けていません。

 

お店に入る時に毎回消毒を求められ宝石のある指輪は石の種類によっては傷んでしまうのでつけられません。

イヤリングもマスクを付けたり外したりすることで落としてしまいます。

 

それでも、可愛いものを見つけると欲しくなってしまいます・・・

 

最近とっても素敵なイヤリングを見つけてしまい3つも注文してしまいました。

 

リボンの形の立体的なイヤリングです。これはもう一目ぼれしました。おそらく1950~60年代のものだと思われます。

 

こちらは乳白色のガラスでできたお花のイヤリングです。

真ん中が光に当たるとキラキラするのではないかと思います。こちらも1950~60年代のものかと思います。

 

これらのイヤリングは昔大好きだったアメリカのドラマ「MAD MEN」(2007~2015年)に同様のものが良く出てきました。

 

1950~70年代はじめぐらいまでの物語なのでその頃のファッションも見どころの一つでした。この頃に生まれてこの頃のファッションを謳歌したかったです。

 

そして最後は1960~70年代のイヤリングです。ドライフラワーが透明の樹脂のボールの中に閉じ込められています。とってもレトロで激震が走りました✨

 

 

最近は、海外から取り寄せるのも送料も時間もかかり昔の様に安くは買えなくなってしまいました。

 

それでも誰ももっていない特別な物を求めて探してしまいます。

 

実物が届くのが本当に楽しみです

19世紀フランスの人気ファッション誌の額縁

面白い額縁を見つけました✨

 

背景はフランスのファッション誌La Mode Ilustree

 

 

立体的です

 

19世紀フランスのイラストに、手作りで立体的で可憐なドレスを施した変わった額縁です。

 

背景のイラストは19世紀にフランスで人気であったファッション誌 La Mode illustree(ラモードイラストレー)です。正確にはその付録です。

雑誌自体は銅版画によるモノクロの雑誌ですが、水彩色を施した付録が付いていました。

ラモードイラストレーは1860~1937年にかけて発行された上流階級向けの雑誌で19世紀後半のフランスのファッション史において世界最大のファッション雑誌の一つでした。最初の週刊ファッション誌と言われています。

 

 

これらの写真ラ・モード・イラストレーの付録です。当時の上流階級の女性達は、このようなファッション誌を参考に最先端のヴィクトリア朝の流行を取り入れたドレスや装飾品を仕立ててもらっていたのでしょう。

 

イラストに手縫いのドレスを飾り付け立体的に見せています



レースやリボンをイラストからずれないように正確に縫い付けています。イラスト紙の裏を見るとわかりますがグルーなどで張り付けているのではなく正確に縫い付けているのです。

 

裏から見た様子、グルーやホッチキス類似のようなものの痕跡が無い

正確な位置に配置するのみならず、イラストが息づいているかのよう美しく完璧にドレスを縫製し紙に縫い付けるには高度な技術が必要だと思われます。

 

これがいつ作られたかは色々調べましたがたいていが19世紀のものとして売られています。

ですが、イラストは19世紀のものでドレスは20世紀に追加され額縁にされたという説もあります。

 

いづれにしても、今も美しく心躍るお品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

1920年代フィリグリーイヤリング

1920年代のフィリグリーイヤリングです☆彡

 

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お花モチーフのフィリグリーのイヤリング

 

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実物のフィリグリーはとても繊細で厚さが薄くデザインも女性らしい印象です。
ブルーのストーンも揺れるととてもキラキラ輝きます。

 

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身に着けてみました。自分をこの角度から撮るのは難しくぼやけてしまいました



フィリグリーの歴史は数千年前に遡ります。

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ファーティマ朝のイヤリング、ハイカラットのゴールドのハンドメイドジュエリー

この頃のフィリグリーはパーツを丁寧に一つ一つ作りそれを溶接していたので大変な時間と技量を要しました。

そのためとても高価で王族のような高貴な人々のみが身に着ける事が出来ました

 

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例えば、左イヤリングの矢印部分は最初にゴールドの針金を作りネジネジに加工して土台となるパーツに溶接しています。

さらに、右イヤリングのaの部分は最初にこのような形の小さな輪をいくつも作り並べて溶接をします。b、cの粒金も最初に多数の粒金を作り溶接していきます。

 

高度かつ手間のかかる技術によるハンドメイドは、一目で感動させる圧倒的な美しさがあります。

 

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フィリグリーのペンダント

 

19~20世紀初頭になると、産業革命による技術の進化によりダイキャストの

くり抜きよるフィリグリーが登場しました。

 

ダイキャストにより複雑な模様のフィリグリーを大量に生産できるようになったのです。

 

1920年頃に流行していましたが、アールデコの影響を受けたデザインが流行りました

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1920年頃 ホワイトゴールドとダイヤ、エメラルドのブローチ

 

ダイキャストによるものでもまるでレースのように繊細で美しいです。

 

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100年前のスターリングシルバーとブルーのガラスのフィリグリーイヤリング・・・長い時を旅してきた情緒を味わいながら普段使いとして身に着けるのも楽しいのではないかと思います✨

 

 

オパールをちりばめたバタフライウイングジュエリー

今日はオパールを散りばめたバタフライウイングのジュエリーのご紹介です☆彡

 

これらのジュエリーは、1か月以上かけて到着しました。劇的な世界情勢の変化により、昔と違い海外からの到着に時間がかかるようになりました。

 

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1920年代 英国シプトン社バタフライウイングペンダントネックレスです。

 

空の部分がバタフライウイング、左側の女性のドレスにオパールが散りばめられています。

写真でもわかるようにオパールの偏光色が所々にきらめいています✨

 

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バタフライウイング、オパール共に偏光色が際立っています

 

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裏にはシプトン社製を表す特許番号があります。

 

続いてブローチです☆彡

 

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背景はバタフライウイング、オパールはドレスいっぱいに散りばめられ大変豪華な印象のブローチです✨

 

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オパールの立体感が際立ち特別な雰囲気です。

 

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こちらも偏光色が所々できらめいています。

 

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こちらもシプトン社製です。

 

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バタフライウイングの歴史については下記事をご覧ください。その歴史をご一読の上

これらの特別なジュエリー達を見るとまた違った視点で楽しむことができるのではないかと思います

 

19世紀半ばの猿のブローチ

またまた久しぶりの更新になります。

 

前から気になっていたブローチのご紹介です☆彡

 

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バーに座った猿とそれにぶら下がっている猿のデザインです。よく見ると上の猿は緑の目、下の猿は赤い目をしています。表情は笑っているようです

 

 

このデザインのブローチはアンティークジュエリーではそれほど珍しくありません。19世紀後半に少しづつデザインを変え流行っていたようです。

たびたび見かけますが、状態の良いバランスの良いものは少なくなってきているように思います。

 

2007年にクリスティーズのオークションにほぼ同じデザインのブローチが出品されています。

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クリスティーズに出品された1890年ごろのブローチ。バーの部分はゴールド、猿の体はシルバーです。ダイヤ・ピンクサファイヤ・真珠使用。フランス製

 

クリスティーズに出品されたこのブローチはイタリア国王ウンベルト2世(イタリア最後の国王)の王妃マリーア・ジョゼからその娘マリーア・ガブリエッラへ与えられた物だったようです。 GBP3,840(現在なら599,362円)で落札されたようです。 

フランス製とのことなので裏側にそれを示すホールマークがあるものと思われます。

 

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私が購入したブローチの裏側。座ってる猿の背中にホールマークまたはメーカーズマークがあります

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背中の拡大写真

 

925とあるのでスターリングシルバーです。その下にホールマークかメーカーズマークのようなものがあります。

複製品の可能性も考えアジアも含めた世界中のホールマークを調べましたが同様のものはありませんでした。メーカーズマークとしても探しましたが不明でした。

そのため製造国は不明です。 (複製品の可能性と言っても著しく高価な商品ではないのでわざわざ複製する理由もないとは思いますが念のため・・・)

 

ですが、年代は特定できます。

 

ブローチの金具です。キャッチがCクラスプ、ヒンジがラウンドヒンジです。

Cクラスプはハンドメイドです。19世紀半ばに使用されました。通常Cクラスプから突き出ている針は3.2mm~6.4mmありクラスプから突き出た部分が長いという事が特徴です。そのためブローチの表から見ると針が突き出ていることがよくあります。

ラウンドヒンジは複数種類あるのですがこのブローチのものは主に修理用に使用されたタイプです。ラウンドヒンジは1930年以降に使われました。

 

つまりこのブローチの金具は1850年頃のものと1930年以降のものが同居している状態です。 おそらくヒンジの部分は修理のため1930年以降に取り換えられたものと推測されます。

 

デザイン・金具等を考えヒンジ以外は19世紀半ば頃のものと推測できます。

ストーンはガラス(テスターでダイヤモンドではありませんでした)ですが両脇にある真珠は本物ではないかと推測しています