Timeless collections

アンティークジュエリーや古い小物のこと

19世紀半ばの猿のブローチ

またまた久しぶりの更新になります。

 

前から気になっていたブローチのご紹介です☆彡

 

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バーに座った猿とそれにぶら下がっている猿のデザインです。よく見ると上の猿は緑の目、下の猿は赤い目をしています。表情は笑っているようです

 

 

このデザインのブローチはアンティークジュエリーではそれほど珍しくありません。19世紀後半に少しづつデザインを変え流行っていたようです。

たびたび見かけますが、状態の良いバランスの良いものは少なくなってきているように思います。

 

2007年にクリスティーズのオークションにほぼ同じデザインのブローチが出品されています。

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クリスティーズに出品された1890年ごろのブローチ。バーの部分はゴールド、猿の体はシルバーです。ダイヤ・ピンクサファイヤ・真珠使用。フランス製

 

クリスティーズに出品されたこのブローチはイタリア国王ウンベルト2世(イタリア最後の国王)の王妃マリーア・ジョゼからその娘マリーア・ガブリエッラへ与えられた物だったようです。 GBP3,840(現在なら599,362円)で落札されたようです。 

フランス製とのことなので裏側にそれを示すホールマークがあるものと思われます。

 

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私が購入したブローチの裏側。座ってる猿の背中にホールマークまたはメーカーズマークがあります

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背中の拡大写真

 

925とあるのでスターリングシルバーです。その下にホールマークかメーカーズマークのようなものがあります。

複製品の可能性も考えアジアも含めた世界中のホールマークを調べましたが同様のものはありませんでした。メーカーズマークとしても探しましたが不明でした。

そのため製造国は不明です。 (複製品の可能性と言っても著しく高価な商品ではないのでわざわざ複製する理由もないとは思いますが念のため・・・)

 

ですが、年代は特定できます。

 

ブローチの金具です。キャッチがCクラスプ、ヒンジがラウンドヒンジです。

Cクラスプはハンドメイドです。19世紀半ばに使用されました。通常Cクラスプから突き出ている針は3.2mm~6.4mmありクラスプから突き出た部分が長いという事が特徴です。そのためブローチの表から見ると針が突き出ていることがよくあります。

ラウンドヒンジは複数種類あるのですがこのブローチのものは主に修理用に使用されたタイプです。ラウンドヒンジは1930年以降に使われました。

 

つまりこのブローチの金具は1850年頃のものと1930年以降のものが同居している状態です。 おそらくヒンジの部分は修理のため1930年以降に取り換えられたものと推測されます。

 

デザイン・金具等を考えヒンジ以外は19世紀半ば頃のものと推測できます。

ストーンはガラス(テスターでダイヤモンドではありませんでした)ですが両脇にある真珠は本物ではないかと推測しています